やっぱまだ工事中……(つД`)
  • 総合評価
  • ★★★★
  • 著者
  • 作:寺島優[Wikipedia]
    画:藤原カムイ[Wikipedia]
  • 巻数
  • 全12巻
  • 出版社
  • スコラ

今回は、『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』(以下、「ロト紋」で統一します)で有名な藤原カムイ氏の最初の大作であり代表作、『雷火』です。
若い世代の人(?)には、「ドラクエ漫画家」みたいな印象があるかもしれませんが、
藤原カムイ氏の引き出しは広く、多彩な方なので、興味のある方は色んなモノを読んでみるとこをお勧めします。
(原作なしだと、難解な大人向けの話が多いですけど)

レビュー前に余談の嵐ですが、この作品は、前述の「ロト紋」より3年早く連載が開始され、
両作品連載終了まで、ほぼ同時進行で連載されていました。

また、この作品は、やたらコミックスの種類が多くて、3種類あります。
が、3種類とも新品での入手が困難と言うシロモノ。
広告には画像があった最新と思われる角川書店版を使わせてもらっています。
……ひょっとして、ウチにあるデラックス版の第1版で全巻ありますけど、これってレア?

まッ、それはともかく、コミックバーガー(現コミックバーズ)に連載されていた作品で、
『雷火』目当てにお小遣いやりくして、コミックバーガーを購入していた記憶が懐かしいッス。

さて、物語の舞台は邪馬台国。
さらに詳しく書くと、卑弥呼(ひみこ)が国を治め、その下で大陸(中国)から来た張政(ちょうせい)が政の中心となり、
倭の国(日本)が新しい時代に突入しようとしていた頃ですね。
邪馬台国の近くに隠れ住む孤児達が、卑弥呼の後継者である壱与(いよ)と出会うことで、物語が大きく動き出します。
その孤児達は3人いて、主人公のライカと物語後半までライカを支え続ける友人のオタジ・ウツキです。
彼らは神仙術(物語中、忍術の前身という設定です)の使い手で、壱与との出会いから、ライカは国と言うものに興味を持ちます。
しかし、張政は壱与を利用し、邪馬台国を始め、倭の国の征服を企んでいて、
ライカ達と張政の戦いは隣国をも巻き込み壮大なスケールで描かれます。
私の日本語が微妙ですけど、大雑把にはそんなところ。
ジャンルで言えば「古式建国忍術アクション」って感じでしょうか。

そしてレビューの本題ですが、
この作品は「脇役もいい味を出しているのに、誰が死ぬか分からない」という緊迫感が、アクション部分をより盛り上げてくれます。
「ロト紋」もすごく面白いんで、否定しているわけじゃありませんが、
「ロト紋」の場合、主人公がロトの血を引く勇者なんで、
基本的に「そら、最後は勝つだろ」という思いが強く、
仲間にしても「そう簡単には死なないだろ」という安心感があるんですよね。

もちろん、そういう安心感も作品上必要とされる場合がありますが、
『雷火』は「普通の少年マンガだったら、コイツは死なないだろ」ってキャラがバンバン
……ではないですけど、そこそこ葬られていきます。
ライカ・オタジ・ウツキ以外の仲間で神仙術を使えるポイントゲッター的味方は少なく、
(神仙術の源流が大陸にあることもあって)敵の張政側には神仙術使いがたくさんいるので、
まともにぶつかり合うと、ラピュタを敵に回した将軍閣下のようにやられてしまう。

流川・花道を欠いた湘北が、王者山王に挑むような……は、言い過ぎか。
でも、味方サイドで「メインキャラの持つ独特の貫禄」ってヤツがあるのは、ライカくらいなんですよね。
よって、オタジvs敵とかになると、命を賭けた「木村vs間柴」ってノリですよ。
そういう脇役vs脇役の戦いもキッチリ省かずに描かれているところで、高ポイントです。
単なる忍術アクションでなく、戦争モノでもあるんで、「犠牲」がちゃんと出るところに物語性がありますね。

この神仙術ですけど、いわゆる「頑張ればできそうな技」でなくて、トンデモ忍術系ですね。
『NARUTO -ナルト-』っぽい技も多々ありますが、
あそこまで少年漫画的パワーインフレは起こしません(最終巻までは、ですけど……orz)。
ストーリーもキャラ立ち等も中々イイ線なんですけど、バトルが楽しいですね。
80年代に連載を開始したマンガの中では、秀逸な戦闘描写かと。
今読み返してみても、十二分に面白いです。

が、しかし、悪い点もあります。
まずね、ライカが強すぎるんですよ。
主人公なんで、弱くなくてもいいですが、常に頭ひとつ分他のキャラより強い。
んで、負けそうになることがあったとしても、謎のパワーで逆転勝ちしたりします。
ライカが戦うと、そういう「デウス・エクス・マキナ」的な決着、言い換えれば予定調和と言える勝利に
ゲンナリすることもあるんで、そこがマイナス。
アリストテレスじゃないですけど、主人公なんだから、目に見えて用意されている「武器」で勝って欲しいッスよ。

でも、それだけだったら、★5でも良かったと思ってます。
ケド……ケド、あの張政とのラストバトルorz
ネタバレなんで、詳しくは書きませんけど、自分の周囲では、あのバトルで納得している人間はゼロです。

もうね、分厚い最終巻に期待して読むも「ぬわー」(byパパス)ですよ。
うーん……、『はじめの一歩』+他のマンガで例えると、最後の戦いが「一歩vs宮田」だと仮定して、
 「一歩のパンチは10cmの爆弾で、当たると宮田の頭がはじけ飛ぶ」
  vs
 「宮田のフットワークは菊丸ステップで、最大3人まで残像が出来る」
とかなったら、泣くに泣けんじゃないですか。
個人的には、それくらいの「萎え~(´д`)」を経験しました。

が、終わりは終わりで綺麗に結末を迎えているし、
その最後の戦い以外は燃える神仙術バトルで、とっても楽しませてくれてハナマル展開です。
また、「ロト紋」は性質上、どうしても一般の大人が読むとイマイチに感じてしまう場合があると思いますが、
『ライカ』はフツーに面白いと感じてもらえると思います。
その理由は、たぶん「単純な勧善懲悪ストーリーではない」ところでしょう。
勧善懲悪っぽさがゼロではないですが、極端に「勇者vs魔王」じゃないですからね。

大人の忍術マンガを求めてる方にもオススメですけど、「邪馬台国」とかそういう単語に琴線バリバリな方もご一読を。
金印・壱与くらいなら中高の日本史でも習うし、ちとマニアックなナシメ・ヒメキコソとかも出てきますしね。
史実(?)を上手く物語に絡め展開し、日本史の謎である「邪馬台国のその後」を描く超大作ですから、是非。


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