やっぱまだ工事中……(つД`)
  • 総合評価
  • ★★★★
  • 著者
  • 作:城平京[Wikipedia]
    画:水野英多[Wikipedia]
  • 巻数
  • 全15巻
  • 出版社
  • スクエア・エニックス

この作品、バッドエンドではないと思っていますが、
完全無欠のハッピーエンド以外、受け付けられない方は★を1個減らしてください。
トリックやロジカルな純然たるミステリを求める方は、さらに★を1個減らしてください。

で、この作品ですが、ガンガンが誇る(大別すると)「推理モノ」ですね。
アニメ化されたようなので、ご存知の方も大勢いらっしゃるかと。

ストーリーは、主人公「鳴海歩(なるみ あゆむ)」が、完全無欠の兄「鳴海清隆(なるみ きよたか)」失踪の謎を追う。
清隆は、失踪前に「ブレード・チルドレン」という謎の言葉を残していたが……。
と言う感じです。
↑のストーリーだと、推理モノじゃなくね? と思われる方もいるかもしれませんが、
本格ミステリオタの私は、「ミステリ」だと認識しています。

序盤1~2巻くらいまでは、「殺人発生」→「犯人を捜せ」的な王道パターンで話が進みますが、これは準備運動みたいなモンです。
その内、戦闘のスペシャリストと戦い始めますョ!!
えー!と思う方、大勢いるでしょう。
でもね、主人公は肉体的には普通の少年なんです(一応……)。
腐女子を集めるようなヴィジュアルと、ピアノが天才的に上手かったり、
すげぇ推理能力を持っていますが、その辺はオヤクソクなんで、気にしないキニシナイ。

で、じゃあ、どうやって戦うかと言うと、「論理」で戦うのです。
敵は歩と戦う上で、ボス的存在の人間に「公平にチャンスを与えるのであれば、何をやってもいい」というような指示を受けているので、
騙し・騙りはあれど、「殺人ゲーム」のような挑戦をしてきます。

ちょっと話を飛ぶかもしれませんが、ミステリ用語で「ハウダニット」って言葉があります。
 犯人当て→Who (had) done it→フーダニット。
 方法当て→How (had) done it→ハウダニット。
 理由当て→Why (had) done it→ホワイダニット。
ってな感じです。

この作品は、「ハウダニット」に分類されるんじゃないかと思ってます。
もちろん広義で捉えての話で、通常「犯人はどんな方法で?」ってのがハウダニットですが、この場合は、
「どんな方法で現状を打開するか?」というハウダニット。
事後に解説を行うんじゃなく、渦中で打開を試みる名探偵(?)なワケです。
そんなんハウダニットじゃねぇ!と言われたり、綱渡りが多いトコロとか含め、
トリック至上主義の方からすれば「駄作」の烙印を押されても、反論の弁は持ちませんケド。

しかし、あえて高評価しているのは、この作品が「ミステリを少年マンガとして描いた」という、
ミステリありきの手法ではなく、「少年マンガという土壌にミステリ要素を埋め込んだ」からです。
あくまで「少年マンガ」というモノがあってこそのストーリーなんですよね。
簡単に言うと「ああ、こういう魅せ方か。なるほど、演出勝ちだな」と。

いーんですよ、際どいトリックでも。
媒体が違えば、演出上の機微でセールスポイントが違うのは当たり前。
コレは私の個人的な受け取り方かもしれませんが、
推理マンガが名作ミステリ小説にトリックや意外な結末で太刀打ちしようってのが、そもそもの間違いだと思ってます。
(バーローやハジメちゃんの悪口じゃないですよ)

いくらガンガンというマイナー誌上であれ、少年マンガってジャンルは、えらい広く普及してます。
翻ってミステリは、特に本格ミステリは狭い世界。
その差異に「万人に分かりやすいかどうか」が、かなりのウェイトで関係していると思ってます。
マンガってのはテンポのエンタテイメントっていう一側面もあって、
多少無茶でもテンポがよければ名作化することは多々あります。
本格ミステリは基本、逆ですよね。テンポなんて、殆ど無視されます。
……ヤバイ。ミステリの話、止まらない。小一時間問い詰めそうだ。どうしよう……(;´д⊂)

えー、あー。つまりですね、この作品の美点は「テンポと分かりやすさ」だと思います。
すごく!とても!違うとも思いますが、圧倒的パワーに「知」で戦う、ジョセフ・ジョースター的お話なワケですよ。
糸のトリックに「そりゃねーだろ」と思っても、ジョジョが色褪せないのとある意味同じ。

で、話を戻しますが、パズルの良し悪しが作品の是非ではない、と。
大好きな『八つ墓村』だって、トリックありきじゃなくて、雰囲気ありきですからね。
ただ、エンタテイメントの楽しみ方なんて、人それぞれなんで、私が「トリックに執着するなんて」とクドクド喋っても、
受け入れられないものを受け入れる必要はないと思いますから、気分を害されたらすみません。
あくまで、本作品の美点を書きたいだけなんで、その辺をご理解いただけるとありがたいです。
そんなワケで、本作品は「非常に美しいパズル」ではなく「気楽に楽しむ少年マンガ」なんです。

話は飛びますが、TV版の『エヴァンゲリオン』じゃないですけど、
この作品は大まかに分けて、3つの部で構成されているとも感じました。
「犯人探し」をする第1部の導入部。
「バトルの打開」を行う第2部の転換期。
「絶望を打ち払う」、第3部での静かな終幕。
(イキナリおっさんが、↑みたいなコト言い出して赤面もイイトコなんですが、
厨二病が抜けきらないかわいそうな人なんで、スルーしてください)

そういうシーン分けをして改めてこの作品を考えると、バトル以後が秀逸ですね。
てか、最初の頃の「フツーの推理」、導入部としては必要なんですが、面白さで言えば下じゃないかと。

絵柄が「可愛らしい絵柄」だし、男は全員「コレ、BL狙い?」と訊きたくなる美形ですし、
たぶんジャケットなんかで忌避している方もいるんではないかと思ってます。
(私はマンガに関して、絵のタイプで良し悪しを考るタチじゃないんですけど、それでも店頭買いはちょっと恥ずかしかった)
けど、この作品、ジャンプでもサンデーでもマガジンでもキツかっただろうな、とかも思ってしまいます。
ガンガン特有の「バッチ来い! 厨二病!」が生んだ名作だと感じますね。
ちなみに、2008年7月現在、本作以前のお話である『スパイラル・アライヴ』も連載終了し、最終巻を待つばかりです。
なお、アニメ化の話もしましたが、小説も4冊刊行されてますね。
……や、スンマセン、小説の方は未読です。

ああ、ラストで、いい表現が思いついた。
ラノベ世界に抵抗なく入れちゃう方はオススメですね。


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